第33回八丈島文化フェスティバル作品展部門報告

  第33回八丈島文化フェスティバル作品展部門が、2022年10月22・23日、八丈町町民ギャラリーと商工会研修室にて開催されました。

作品展部門は第26回文化フェスティバル(2015年)からスタートしましたが、今回は、過去最多の18組が出展し、中学生・高校生から大人まで、幅広い年齢層のさまざまなジャンルの作品が披露されました。ワークショップも実施しました。
 第32回に続き、作品展部門のみの単独開催でしたが、
2日間で431人の方にご来場いただき、大盛況にて終了しました。ご来場いただいたお客様をはじめ、出展者のみなさま、お手伝いいただいたみなさま、関係したすべての方々にこの場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございました。

                                                  八丈島文化フェスティバル実行委員会事務局

 

第33回八丈島文化フェスティバル作品展部門 Photo gallery 町民ギャラリー

撮影 田崎公理さん

町民ギャラリー

 「にじいろのしま」

荒川七生            デリカビーズアート

東京都両国育ち 中之郷在住           Instagramnanao arakawa nana.o77o

 

 八丈島でバランスボールのインストラクターをしている七生さん。八丈レモンフェスや八丈ハンドメイドマルシェでのつながりから、今回文フェス初出展となった。

 島のヨガ仲間から、ビーズアクセサリー制作の依頼をもらったのをきっかけに、現在は「リードパークリゾート八丈島」「空間舎」「おうちカフェなないろ」3箇所それぞれに似合ったコンセプトでビーズアクセサリーを販売している。今回は初めて大きなビーズ作品を制作。作品に近づいてよく見ると、ビーズアートの繊細な面白さに気付く。同じ色でも光沢のあるものと、ないものを上手くつかいながら、ひとつひとつのビーズの中に細い糸を通していく地道な作業。上下のビーズが少しずつずれて合わさるビーズを使うことによって、動物の眼の線など、より自由度の高い描写が可能になる。

 八丈島をモチーフに、いくつもの描写が散りばめられた今回の作品。ぜひそれぞれの模様が何に見えるか、みんなで当てっこしてほしい。

 

 


「Sarase」

「欠けた器+傷だらけのピザボード=…」

「どしゃ降りレインスティック」

「Under The Sea」 

「なまえ それは もえる いのち」

 

作者 gold breathの仲間達

「Kyon

ほぼ実物大でキョンを刺繍しました。
刺繍糸は27色使用。制作に半年かかりました。

「Beekeeping

4月から養蜂を始めています。
 ミツバチの生態を通じて、八丈島の自然によりいっそう思いを馳せるようになりました。
 これらは養蜂に使用する道具です。

「Caracal cat

黄八丈の余り糸をいただき、刺繍糸として使用。
銅版画のような繊細なタッチが出せました。

 

カラカルは私の好きなネコ科の動物です。
刺繍絵「八丈富士とフリージア」
 

「Sokodo」

 夏に底土でシュノーケルで見た光景。

「ポータブル八丈島」野球場を探してみよう

「南原野球場と八丈小島」野球部員を数えてみよう

初戦応募作品「けいもでえじーきゃの~」

ファースト公開審査「途中」 

ファイナル公開審査「かんじるもの」

「森の憩い場」

「黎明の海」

「雲焼ける」

「フリージア畑と八丈富士2009」

「春光<フリージア>」

"黄八丈を差し込み浴衣からリメイクしました"

「marine debris」

 伊藤芳枝          絵・パネル・置物

千葉県松戸市生まれ 三根在住

 Twitter:もったいない工房ちょっぺ @choppe8jo 

 

 文フェスには3年ぶりの出展となるちょっぺさん。なんでも捨てることはないじゃん。使えるものはなんでも使おうよ精神で、捨てられちゃいそうなデニム、着物、帯、などの他にも、ビーチコーミングや木の実などを使って、室内履き、クッション、バック、小物、ねこのぬいぐるみ、などの作品を制作してきた。

 小笠原の民芸品「タコノ葉細工」の作家としても活動していたちょっぺさん。現在は、今年中を目標に、島の中に眠っている手芸道具、糸、はさみ、アイロン代、アイロン、布や着物を集めて、販売するスペースを作る予定だ。島の子どもがはじめて手芸をするときに、安くはじめられるようにする事も考えている。「地域活動支援センターよけごん」主催のリサイクルショップも仲間と随時開催している。

 

 

 

奥山りさ          こども服

八丈島三根生まれ 大賀郷在住

Instagramsoleil_lemon  risa okuyama

 子どものブランド服が高かったバブルの時代、たまたま手に取った雑誌で手作りの子ども服の記事を読み、端切れ屋さんで買った布から作った子ども服。そこから長く使えるシンプルで可愛いくて飽きない服の制作を続けている。

  すぐに成長する自分の子どもには、ワンサイズ大きめの服を購入することも多かった奥山さん。現在4人いる孫には、ぴったりしてかわいいジャストサイズの服を着せてあげたいとの気持ちから、今回出展の2点の服を制作した。

 ハンドメイドマルシェの活動も行いながら、むかしのとみじろうでは、雑貨、ポーチ、バック、アクセサリーなども販売している。

 

 

木下恵美             クラフト作品 

東京都大田区生まれ 大賀郷在住

 30年前に八丈島に移住した当時、3歳児までの育児支援の教室が無いために母親同士の交わりがほとんど無く、自分の子どもたちと葉っぱで絵を描いたりした経験が今の創作活動の始まり。

 10年前に「八丈ビジターセンター」に就職して、自然プログラムでのネイチャークラフトを担当したことから本格的にものづくりを始めた。多面体に形成したフィンランドの装飾品「ヒンメリ」を八丈島の竹で作ったり、切り絵をかさねたランプシェードを制作したりと、そのとき気になっているものを作ってきた恵美さん。

  今回は、とにかく魚をいっぱい作りたくなり、ネイチャークラフト、絵、粘土細工を混ぜて大小100匹の魚を生み出し、海の中の世界を表現した。

 舞台部門と展示部門、両方の実行委員として文フェスを裏方としても支えてきた恵美さん。今後は舞台と展示の共同作品やホワイエを使った展示など、新しい文フェスのあり方も考えている。

 2日間にわたって、八丈島で咲いていたお花を使った「押し花ワークショップ」も開催する。

 

 

 

Goldbreath            動画の展示

 Instagramgoldbreath.8                        音楽教室Goldbreath@東京都八丈島

 

 音楽大学で歌とピアノとマリンバを専門として学んだ小金沢さんが8年前に移住した八丈島で感じたのは、島の大人もみな音楽のある人生を楽しみたいと思っているという事。先生からの決められるレッスンではなく、奏者本人から湧き上がってくるものを大切に、演奏の作戦会議をしたり実際に試してみる場づくりを行なっている。例年、文フェス舞台部門に出演してきたが、コロナでの中止の可能性も考え、音楽を披露する場面を作る理由から、今回初めて展示部門にも出展を決めた。

  作品のテーマは「名前」。テーマに合った3曲「ビューティフルネーム」「恋のダイヤル6700」「いのちの理由」を演奏した映像に、演奏者の子供時代が投影される。親から与えられた名前の意味をさぐるように、吊るされた服にあしらわれた子供時代の写真をめくると、現在の本人の姿があらわれる。

 作品には、文フェスの来場者との「名前」を介したアンサンブルの意味も込め、自分の名前を記入してもらう仕掛けを用意した。

 Goldbreath」では音楽歴や年齢に関係なく、ひとりでの演奏以外にも、アンサンブルをしてみたい仲間を募集中。来年6月に発表会を予定。それ以外にも島内での演奏を企画中。

 

東海林ミモザ         刺繍作品

東京都日野市生まれ 三根在住

TwitterMimoza SHOJI −embroidery artist− @mimosa38

「Sokodo」

「Caracal cat

                             

    版画の刷り師の父の元に生まれ、小さな頃から工房に出入りして育ったミモザさん。美術の仕事の厳しさを実感してきたからこそ、美術の仕事は遠ざけて、高校の国語教員として働いてきた。

 転機は6年前の八丈島への移住。子供が生まれ、手芸をはじめたミモザさん。パッチワークの布を繋ぎ合わせたカバーなど幅広く制作をしながらも感じていたのは「自分の作風を持ちたい」という気持ち。絵を描く感覚に近く、すべて手作業で細かい線を描き塗るイメージの刺繍に惹かれていった。

 かさねて、すきまをうめて、動きをだして、陰影をつける、

 刺繍の時間の流れは超スロー。3時間刺し続けて完成するのは小さなサンゴひとつ。

今回は新作4点をはじめて発表する。なかでもミモザさんが一番好きな動物「Caracal」は今までの重ねる技法から一転、余白を生かして動物の毛並みを際立たせた躍動感のある作品。

「養蜂」をテーマにした新作では今春から島で始めた養蜂家としての顔ものぞかせる。図案として見ていた「きれいな花」から、蜂が好きそうな「小さな花」に自然と目が向くように、世界の見え方が変わってきたと語るミモザさんが生み出す刺繍の世界。作品を増やして島で個展をするのが今の目標である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

竹花紀俊           立体作品

東京都世田谷区生まれ 三根在住

Twitter:タケ 移住しました野球する為に@8jojima2110
Instagram
hachijoniiju  
タケ 八丈島に移住しました。野球するために

 

 大学時代の野球生活から、社会人になったあとも野球を続け、各地で子どもたちに野球の指導を行なってきた経験がある竹花さんの人生を変えたのは、ある日スマホで偶然目にした大海原をのぞむ美しい野球場の画像。とにかくこの球場を体感してみたいと八丈島を訪れた際に高校生の野球部員に聞いた「部員と練習相手が少ない」という話に心動かされ、昨年冬に八丈島に移住した。

 その後、八丈高校の図書室で働きながら、野球部を全力でサポート。島でも大いに盛り上がった今年の夏の甲子園東東京大会での4回戦進出に大きく貢献した。

 実は幼稚園から中三まで毎週工作教室に通い、粘土や木工、油絵や立体作品を制作してきた竹花さん。八丈島の南原野球場との出逢いと、夏の甲子園への練習の日々を、新鮮な気持ちのまま形として残したいという衝動に突き動かされて制作した立体作品2点を今回出展する。 

 島に長く生活するうちに “あたりまえ になって心が動かない島の感動ポイントを、外から来た移住者が新鮮なうちに形にして伝える事。それによって、島民や島外の人々の心を少しでも動かす事。じっと見つめるうちに体が中に入り込んでいくサイズで作った「南原球場と八丈小島」で小島に沈む夕日を一緒に眺めて、熱く燃えた練習と青春の日々を再現する。

「南原球場に野球を観に来てほしい、そして一緒に野球をやりましょうよ」byタケ

 

 

 

 

 

 

八丈高校写真部          写真甲子園2022出展作品・本選大会作品

 今年夏、甲子園予選で大躍進した八丈高校野球部と並んで、甲子園本選に出場してみごとに賞を獲得した高校生たちがいる。それが部員6名でこの夏、奮闘した八丈高校写真部である。

 全国533校の写真部から審査を経て80校に絞られた八高写真部は、作品の制作意図とねらいをプレゼンテーションし、審査と講評をくぐり抜け、本戦大会18校に選ばれると、北海道大雪山のふもと東川町で開催された本戦に出場。各高校が同じカメラとレンズ、加工無しの写真を作成する条件で、八高写真部はみごとに「優秀賞・上富良野町長賞」を受賞した。

 八高写真部として文フェス初出展となる今回は、その受賞作の凱旋展示となる。
 写真をやっていた田崎先生が八丈高校に赴任して、生徒とはじめた同好会から部活となって3年目。週2回の活動で各自の写真についてフランクに意見交換をしながらすすめてきた写真部。田崎先生にとっての驚きは、生徒たちの写真が、自由な構図で技術的なタブーを壊す表現が多いことだと言う。そのエネルギーが評価されて今回の受賞につながった。

甲子園の予選から本戦へ時系列に並ぶ写真から、高校生の成長を感じて欲しい。

この冬は八丈高校での展示や、東京都写真連盟主催の写真展などが予定されている。コロナ禍で止まっていた空港での展示や写真甲子園への挑戦を継続していく。

 

八丈の布絵本 結 ゆい 

布絵本・布おもちゃ
 「八丈の布絵本 結 ゆい」には前史がある。八丈島に新しい図書館の建設を願って、1999年に「よりよい町立図書館づくりをすすめる会」に発足させたのが元である。月1回集まり毎年町に要望書を提出し、総会では講師を招いて勉強会も行ってきた。

 その中で2012年の講師であった渡辺順子さんが紹介したのが「布絵本」で、ワークショップも行った。視覚障害をもつ子どもなどのために、さわる絵本として始まった布絵本。紙の本ではむずかしい本の一部をはずしたり、うごかしたりと、障害児だけでなく、本に親しみのない子や、障害を負った大人のリハビリとしても喜ばれてきた。

 また、市販の本ではできない、自らの手を動かして物語を作り出せる布絵本の可能性にも魅せられたメンバーは、八丈かるたを題材にした布絵本など多くの作品を制作してきた。その数は現在100点を超える。

 町立図書館では読み聞かせなどの活動も行い、図書館の児童室には毎月、季節感を感じてもらうためにつるし飾りも展示。布を使った葉っぱの絵合わせや、釣り堀あそびなど、布のおもちゃも制作している。

 コロナ禍前までは、布絵本は町立図書館に限らず、保育園、家庭支援センター、ひよこクラブ、八丈病院小児科、介護施設、に置かれ親しまれていたので、再び利用してもらえる日が一日も早くくることを願っているという。活動は月1回、各自のペースで作品作りをしている。一緒に布絵本をつくりませんか?

 

林冬人写真事務所         写真

林冬人                             長野県飯田市生まれ、岐阜市育ち。2014年他界。

 昭和51年に八丈島に移住後、保養所の管理人として働いた林冬人さんが写真をはじめたのは1990年頃。移住当初は釣りにのめり込み、釣りのガイドをしたりと、写真とは縁のない生活だった。

 写真をはじめたきっかけは、息子の哲也さんが撮った写真。釣りの経験から、島の自然や天気を熟知していた経験を生かして、多くの自然写真を制作し、フィルム時代から写真教室を主催し八丈島民に写真技術を普及させた。晩年は、卒園式、入学式、成人式、などのイベント撮影も行い、立ち上げから関係してきた文フェスの舞台部門の写真も多く遺し、町立病院にも写真作品が展示されている。

 今回の出展作品は、息子の哲也さんがコロナ禍なので明るい写真を見て欲しいと考え、色の調整、トリミング、プリントを行なった。冬人さんが他界したあと、哲也さんは父の写真データの色調整やトリミングを行うこと自体に躊躇や罪悪感があったと語る。現在は父の遺した写真と向き合いながら、写真を選び、調整プリントすることに、共同制作のような心持ちを持てるようになってきた。

冬人さんの父は、波乱に満ちた人生を歩み37歳で夭逝した画家である島村洋二郎。近年再評価が進み詩画集が出版されている

 

湊直子           着物リメイクー花絣

東京都小金井市生まれ 大賀郷在住
facebookに「湊直子」で作品掲載

 11年前に八丈島に移住した湊さん。着物のリメイクを20年前から行っており、各地の即売会などで販売をしてきた。普段はちょんこめ作業所に勤務しながら、ハンドメイドマルシェなどで販売を行なっている。

 八丈島に来て驚いたのは、島の人たちが今でも多くの着物を家に保管している事。しかし多くの着物がタンスの中に仕舞われたままになっていて、みんなが着物を持て余していると感じた経験から、着物のリメイクをオーダーメイドで始めた。それぞれの歴史や思い出が詰まった着物は、なるべく1着全てを余す事なく使い切る事をモットーとして、着物の他にも小物やバックを制作している。

 また、八丈島で出逢った「黄八丈」の美しさと技術に心を動かされ、どうにか黄八丈を世間に広めたい、どうやったら日常的に使ってもらい良さを分かってもらえるか、その方法を八丈島の島民とみんなで考えるために「黄八丈」をポイントとして大胆にデザインした着物リメイクを行なっている。長年の使用で着物に付いたシミや端切れの部分を新たによみがえらせる様に「黄八丈」で模様をデザインしている。

 技術継承者の減少など様々な要因から昔より高価になっている「黄八丈」だが、小さな生地を上手くポイントとしてリメイクすることによって、かっこよく、現代的になる様子を感じて欲しい。若者を中心に着物の良さが再評価されている現在、かさばらないリメイク着物を旅行でも楽しんでもらいたい。今後はネットで国内最大級のハンドメイドマーケット「minne」での出品を増やしていく事を計画中。

 

松本恭子            クラフト

茨城県北茨城市生まれ 三根在住。
Instagramrami8jo 八丈島雑貨屋ラミ(うみがめ屋)

   八丈島雑貨屋ラミとして、お店を経営して自らの作品を販売しているラミさん。ガラス素材を中心に、黄八丈、シーグラス、貝殻、溶岩、など様々な素材を使った作品や、デコレーションをしたギョサンなど、幅広く制作活動を行なっている。

  文フェスでは、商品開発の実験の場としての展示をしたいと考えており、今回は初めて「プラスチックゴミ」を使った作品を制作した。

 以前から、「マリンデブリ」「海洋ゴミ」とも呼ばれる「プラスチック」で何かできないか試行錯誤を繰り返してきたラミさん。プラスチックを美しく見せることの難しさと向き合いながら、今回ビーチコーミングで集めたペットボトルのゴミを使い、背景をアルコールインクでぼやかした幻想的な作品を出展する

 「海洋ゴミに価値を見出して、持って帰ってもらうのが理想」と語るラミさん。文フェス会期中でも、作品を気に入った人がいれば、その場で持って帰ってもらい、展示作品が無くなるのが理想の形だ。

 

 

三原中学校アート部

 油絵を描いてきた柳澤先生が今年赴任した三原中学校アート部。学習発表会での発表機会しか無かった生徒たちの作品を、いつでも見てもらおうと、全校生徒が集う学内のスペースに美術作品を展示する常設コーナーを作った。

 部員数8名、各自の作品と全員での作品制作を行っている。

 島の中学生は“ホンモノの美術”に触れる機会が少ない中、パソコンを使ったオンラインでの美術館巡りも試みてきたが、本物の美術館に行った事がない生徒には中々響かないことが先生の悩み。

 学外での発表を増やし、他校の生徒と交流する機会を増やしたいと、今回はじめて文フェスへの出展を決めた。

 

 

 


商工会研修室

「時空交差点」
伊豆諸島シネマセンター
大澤 未来・高野 利里矢・片山 瑠璃子

「ネガフィルム(カラー・白黒)」

「フィルムからのアナログプリント」

「ギターエフェクター」

“Independent, harmony”  

 

数年前からまた写真をはじめようと思って、東京の街や島の森の中を歩い て、おもしろいと思った対象やクールだな、と感じた瞬間をカメラに収めて います。撮る時は(普段もですが)特に何も考えてないので、出来上がった写真 はそれぞれが独立した存在として在るだけで、これといった繋がりや関連性 もありません。しかしこうしてそれらを並べてみると、不思議とある種の調 和が、そこには生まれているような気がします。                                                     2022 後藤 勝

伊豆諸島シネマセンター         映像、写真、音楽をミックスしたインスタレーション

Twitter:伊豆諸島シネマセンター @izucinema
Instagram
izucinema 伊豆諸島シネマセンター

昨年、八丈島に移住したドキュメンタリー映画監督の大澤未来を中心に、映画に触れ合う機会の少ない伊豆諸島で、映画の文化を普及・支援することを目的として結成された伊豆諸島シネマセンター。昨年は「アイランドシアター」という企画で4本のドキュメンタリー映画の上映と映画監督とのトーク、写真展を島内で開催した。

現在は、八丈島をはじめとして伊豆諸島の古いフィルムアーカイブの発掘に力を入れており、東京都に保管されている16ミリフィルムの試写や、各地で発表されてきた伊豆諸島の映像を研究し、今後の八丈島での上映も計画している。

文フェス初出展となる今回は、八丈島在住メンバー3名で3つの映像を投影する3面マルチプロジェクション作品「時空交差点」を制作した。発掘された過去の八丈島と八丈小島の映像を大胆に再編集した映像を、現在の八丈島の風景に再投影する。「映像を撮り遺すこと」「映像を投影し見せる事」「映像を土地に戻す事」の意味をめぐって交錯する時空を現出させることを試みた作品。

青ヶ島での映像制作も進めている伊豆諸島シネマセンター。今後の上映会を企画していく映画仲間も随時募集している。

 

 

大賀郷中学校美術部       絵画・工作

 5年前、美術部を担当する小林先生着任当初2名だった生徒が、現在17名に増え、大所帯となった大賀郷中学校美術部。

 今夏には、美術館が無い八丈島の中学生に”ホンモノの美術”に触れる機会を作るため、東京都の事業を活用し、夏休みに3日間、東京の美術館や博物館を巡り、観劇を体験し創作意欲を刺激される経験をした美術部の生徒たち。

 文フェス3回目の参加となる今回は「自由制作」「クリアソープ」「ペーパーウェイト」「共同制作」の4つの方法での出展となる。

 透明な素材が作り出す色の重なりや混ざり方の繊細さに、新鮮な感動を感じながら制作した「クリアソープ」。シリコン型をいかしてポップに仕上げたものや、透過性をいかして花材を使い華やかに仕上げたものなど、同じ材料でも作品は様々だ。

 黒滑石を削って作った「ペーパーウェイト」作品は、各自がデザインを考え、削りだした後に丁寧にやすりで磨いて仕上げている。

 日々の生活を見渡すと、衣食住あらゆる場面で美術の力が生かされている。だからこそ、さまざまな素材やジャンルに取り組み、生活の中にあるアートの視点を育みたいと考えてきた小林先生。

 コロナ禍が落ち着けば、島内のアーティストとの制作活動や、島の様々な場所をスケッチすることを考えている。1人1枚大きな絵を試行錯誤しながら描くことにチャレンジした作品は、毎年3月の学習発表会で発表されている。

 

 

 

 

 

 

 

 

加納慎也             アナログ技術 

愛知県名古屋市生まれ、三根在住。
Twitter:シャイニー@kbodhio

 

 八丈島に移住して2年目になる加納さん。普段はTENNEIという会社でプログラマーとして働きながら、バンド活動として「Yockey’s 7」と「雨森バンド」でギターを担当して幅広く活動している。

 八丈島文化フェスティバルに初出展となる今回のテーマは「アナログ」

 普段はプログラマーとして「デジタル技術」を駆使して働いている加納さんにとって「デジタル技術」からは伝わってこない「アナログ」の物質としての魅力と作品から生み出される感覚を伝えて、島のアナログ仲間を増やしたい思いがあると言う。

 1作品目はアナログカメラとして世界的に有名な「ローライフレックス」で自ら撮影した愛車を現像した白黒とカラーのネガフィルムを展示する。ライトボックスに照らされたフィルムをルーペで覗きこむ作品だ。

 2作品目はみずから写真現像とプリントをおこなった夫婦写真を展示する。ここからもアナログ写真の力を感じて欲しい。

 3作品目は高価なアナログギターエフェクターとして有名な「rangemaster/レンジマスター」をベースに加納さん自ら改造したギターエフェクター。ゲルマニウムを使っていた時代のエフェクターから生み出される音を来場者が体験できる仕掛けになっている。

  中学2年からエフェクターの自作にハマり現在のプログラマーの仕事に繋がった加納さんだが、自分の高校時代に数学にもっと興味を持ちたかったという後悔があると言う。ぜひ八丈島の若者に数学に興味を持って欲しいという思いで、2日間にわたって「音で体感 電気回路ワークショップ」も開催する。

 

後藤勝               写真

大阪府大阪市北区生まれ 大賀郷在住

 

 青ヶ島、御蔵島、と伊豆諸島を郵便局員として渡り歩いて来た後藤さん。2年前に八丈島に移住して現在は中之郷郵便局に勤務しながら、学生時代から続けてきた写真制作を行なっている。

 カメラが切り取る世界には、常にどこか人間が見ている世界と違う「冷めた目線」が定着するところに惹かれると語る後藤さん。人物写真であれ、風景写真であれ、心を通わせたい人間の気持ちから冷静に距離をとる機械としてのカメラの目。

 島の植物と都会の風景を衝突するように配置された作品群からは、独特の艶かしい生きものの世界が立ち上がってくる。

 写真は撮影者のリズムが映り込むと考える後藤さん。カメラを持ち人混みに入り、離れ、また人混みに入り込む、その出入りのリズムの中で、世界との距離が出現する。

 初めての八丈島での展示を契機に、これからは、八丈島の山に入り、家族や友人にもレンズを向けたいと後藤さんは考えている。

 

 

 

福田實                         絵画                  

八丈島中之郷生まれ 2019年他界 

   八丈島を代表する民宿ガーデン荘の名物女将えいこばの夫である實さんが他界して3年になる。えいこばと丁々発止のやりとりが多くの宿泊客を惹き付けてきた。

   八丈島中之郷生まれの實さんは、青年時代から為朝凧の絵を描き、八丈高校では詩のグループに入り詩作を行なってきた。早稲田大学哲学科に通い、比較宗教哲学を学んだが中退、都内の美術大学にも通学し、ふたたび絵を描き始めた。昭和30年代には島では珍しかったレコードプレーヤーや真空管アンプ、オーディオセットを揃え、都会の文化を島に持ち込んだ。

  絵を本格的に描き始めた当初は、抽象的な油絵を多く描いていた實さん。その後、東京七島新聞に北野雨秋の名前で「八丈ショメ節考」を定期的に連載し、挿絵として島の植物や宗教的な具象画も描いた。民宿の客との交流を大いに楽しみ、宿泊客を描いた絵も遺している。高校時代からの詩作も続け、細田高次郎の名前で数多くの詩を発表している。

  今回は、ガーデン荘に遺されている實さんの絵画作品6点を展示する。

   大のお酒好きで芸術、文化を愛した實さんが遺した作品から、八丈島に生きる喜びが伝わってくる。

 

 


ワークショップ

音で体感 電気回路ワークショップ

10月23日13:00~14:30

講師:加納慎也

 

電子回路でフィルタ(音を通すと、音の一部が取り除かれるもの)を作ります。

作ったフィルタに音楽等を通し、フィルタの効果を耳で確かめます。(募集チラシより)

文フェスを取材して映像をつくろう
10月22日13:00~16:00

講師:大澤未来(伊豆諸島シネマセンター)

 

展示されている作品を自由に撮影したり、作品を作った人や、見に来た人を撮影させてもらいます。撮影した映像をパソコンで短い映像に編集し、完成した作品を会場で映写し、みんなで見てもらうワークショップです。

(募集チラシより)

 

 

 

 

 

 

お花で遊ぼう!押し花キーホルダー

10月22日9:30~12:00

10月23日13:00~14:00

講師:木下恵美

 

島のお花を使った押し花でオリジナルキーホルダーを作ります。(募集チラシより)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イニシャル刺繍をしてみよう 

10月22日9:30~12:00

10月23日13:00~14:00

講師:木下恵美

 

おしゃれなアルファベット刺繍にチャレンジしてみましょう。好きな色の糸を選んでストライブ模様の文字を描きます。できた刺繍はくるみボタンのヘアゴムなでに仕立てられます。

 

 


来場者アンケートより抜粋

・八丈島の風土や景色や歴史に触れることが出来、また、ハンドメイドの素敵な作品を見ることが出来、とても楽しい時間で した。八丈は芸術や美術品(作品)を展示している場所がないので、このような取り組みはとても大切だと感じました。

・大勢の出展者がいて、芸術の島、八丈島!文化の島、八丈島を実感しました。私も作ってみたい!これからも続けていって 下さい。

・とても素敵な作品展でした。一つ一つじっくり見たくて、2日間とも観に行きました。来年も楽しみにしています!開催い ただきありがとうございました。

・目でみるもの以外にも、音や映像など様々で、面白く鑑賞できました。

・楽しく観させていただきました。ジャンルも様々で見応えありました。

・出展の種類が多く、島の人々の文化力の豊かさを感じました。

・演出が違うと違うものですね。びっくりしました。年々充実していてすばらしいと思いました。

・心のこもったすてきな作品。今年も楽しませてもらいました。細かくていねいな仕上げ、素敵でした。

・学生さん達の素晴らしい作品に感激

・皆さんのすばらしい作品が一堂に介し、これが実現できる力、素晴らしい。